この記念公演が行われたことを知ったのは、済んでから、朝日新聞に載った記事で。
 アンドリュー・ロイド・ウェバーの「オペラ座の怪人」は、劇団四季のをずいぶん何度も観たが、世界中で上演されている。この演目の本家で、場所を大ホールに構え、豪華な舞台、豪華で大勢のキャストにより行われた。そんなのがあるんだったら、観に行くこともできたかもしれないと後悔するが、新聞記事の最後に、映画化してTOHOシネマズで公開と書いてあったのが救いの神となり、10月23日、TOHOシネマズ梅田に、ネットで指定席を確保して、一人で見に行った。
 たった1週間しか上映しない。珍しい映画なのだ。プログラムもグッズも売っていない。料金は2千円の特別料金。これが高いか安いか、答えは、もちろん安い。
 観客は少ない。ほとんど知られていないのだろう。
 
 会場となったロイヤル・アルバート・ホールは、ロンドンの古いホールで、私も過去3回、クラシックのコンサートに行ったことがある。毎年夏の音楽祭「PROMS」の会場になる所でもある。
 舞台のライブをそのままノーカットで映画にしたものだから、開演前のホール内の様子から始まり、終演後のカーテンコールや舞台挨拶のようなのまで収録されている。
 何よりも素晴らしい出演者の歌唱力。迫真の演技。生で観たかったなあと、何度も思うが、しかし、アップで見られるところがメリットでもある。かつて、ロンドンのハー・マジェスティーズ・シアターで観た時に、歌唱力のレベルが高いと感心し、ニューヨークでもそう思ったが、そのレベルをはるかに超える最高の内容になっている。出演者が約200人だそうで、仮面舞踏会の場面などは鳥肌が立つ豪華さだ。主役の怪人役も、クリスティーヌ役も、最高の歌唱力と演技だ。

 終演後に、アンドリュー・ロイド・ウェバーが出てきて、過去のキャストも紹介し、そうなると出てくるのが、初期の頃にクリスティーヌ役を演じたサラ・ブライトマン。元夫婦でもある。サプライズで過去の怪人役キャスト4人と歌う場面があり、いよいよ盛り上がる。オペラの盛り上がりとはまた違う、PROMSラストナイトの盛り上がりをも超える感動を観客と一緒に、こちらの客席でも感じ取って、映画館なのに拍手が沸き起こる。感動で泣いている人もいる。私も何度も目頭が熱くなる。

 全てが終わって、エンドロールになっても、帰る人はいない。この映画、私のように一人で来ている人が、男性・女性ともに多い。

 記憶に残る映画、いや、ミュージカル公演そのものだ。この映画を、もう一度見るチャンスは大阪では今度の金曜日まで。全国的にも期間限定、最少限の映画館でやっていると思うので、興味のある方は、ネットで調べて行かれた方が良いと思います。
 私の感想ですが、間違いなく、2千円の10倍ぐらいの価値がありました。



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オペラ座の怪人25周年記念公演(2011年)
 
 10月上旬にロンドンのロイヤル・アルバート・ホールで行われた「オペラ座の怪人25周年記念公演」を映画にしたもの。
 10月22日から1週間限定、TOHOシネマズで公開。
 これは、映画というよりも、劇場の公演をライブで観るようなもの。
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